Research Press Release

カラコルムの安定氷河は独特の季節サイクルが原因?

Nature Geoscience

2014年10月13日

アジアの高山地域であるカラコルムでは、大部分の雪と雨は冬季に降るが、その近傍の山岳地帯ではモンスーン由来の夏季の降雨が支配的であるとの報告が、今週のオンライン版に掲載される。カラコルム地域は、異常に安定な氷河で注目されているが、この発見はこのような異常な降雪と降雨の年周パターンがカラコルム氷河を気候変動による質量損失から守っている可能性があることを示唆している。

Sarah Kapnickたちは、観測だけでなく1861年から2100年までの高分解能気候モデルシミュレーションを用いて、カラコルム地域の降雪と降雨の季節サイクルを解析した。比較のために、著者たちは氷河質量を失っている2か所の近傍のアジア高山地域も調査した。著者たちは、カラコルムでは大部分の降水は12月から5月の間に雪として降ることを発見した。さらに、著者たちの21世紀の予測では、気候変動に応答した毎年の全降水量はほとんど変化していない。これとは対照的に、モンスーン由来の夏季降雨が支配的である近傍の山岳地帯では、21世紀では降雨量が増大する一方で、全降雪量は減少することが予想されている。

doi:10.1038/ngeo2269

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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