Research Press Release
チリ地震が南極の氷震の引き金となった
Nature Geoscience
2014年8月11日
2010年チリ地震による地震波は、南極で氷床を破壊する地震である、氷震の引き金となったとの報告が、今週のオンライン版に掲載される。大地震は遠く離れた地域の地殻で地震活動の引き金となることが知られているが、この結果はまた、氷床がそのような誘発に対して敏感であることを示している。
Zhigang Pengたちは、2010年に起きたマグニチュード8.8のチリ地震前後6時間の間に南極で記録された地震データを解析した。データは、チリ地震後の数時間に起きたいくつかの小さな氷震を示している。著者たちは、これはチリ地震の震央から放射され、氷床を通過した地震波が引き金となったものだと示唆している。この結果は、これまであまり考えられていなかった固体地球と地殻の凍結した流体部分との相互作用に焦点を当て、遠地で起きた大地震が氷床力学過程に影響を及ぼす可能性があることを示唆している。
doi:10.1038/ngeo2212
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
古生物学:インドで発見された化石は新属新種の古代の大蛇だったScientific Reports
-
生体力学:昆虫の翅のヒンジは筋肉によって制御されているNature
-
気候変動:気候変動に伴う経済的コストNature
-
生物学:闘争・逃走系の起源Nature
-
材料:接着剤が海洋性軟体動物種の追跡に役立つNature Communications
-
気候変動:海洋での致死的な極端低温事象の強度と頻度が高まっているNature Climate Change