Research Press Release

【心理学】コンピューター化された治療法で高齢者うつ病を治療する

Nature Communications

2014年8月6日

治療抵抗性高齢者うつ病の患者の一部が、特別に設計されたコンピューターゲームを行うことで、症状の軽減を図れることが明らかになった。この新知見は、一部の行動療法が、臨床的うつ病の現実的な治療法となる可能性を示している。この研究結果について報告する論文が、今週掲載される。

多数の高齢者が罹患する臨床的うつ病の場合、心理療法と薬剤が有効な患者がいる一方で、そうした治療法に抵抗性を示す患者も多い。このような患者には、効果を高めた治療法が必要だが、今のところ見つかっていない。

今回、Sarah Shizuko Morimotoたちは、コンピューター化された認知機能訓練プログラムを作成し、これを使って、治療抵抗性を示す11人の高齢者(60~89歳)のトレーニングを行い、学習と記憶の諸側面の改善を試みた。その結果、この訓練プログラムは、従来の抗うつ剤で症状が改善しなかった患者において、代表的な治療薬であるエスシタロプラムと同等な症状改善効果のあることが明らかになった。

Morimotoたちは、この結果を確認するためには十分な臨床研究が必要となる点を指摘する一方で、今回の研究が引き金となって臨床的うつ病の新たな治療法に関する研究が盛んになることを期待している。

doi:10.1038/ncomms5579

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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