Research Press Release
量子世界時を目指して
Nature Physics
2014年6月16日
現行の原子時計よりずっと正確で安定な計時デバイスが、原子時計の量子ネットワークによって得られる可能性が、今週のオンライン版で報告されている。こうしたネットワークには、さまざまな工学的用途があるだけでなく、相対性理論や量子重力の基本的検証や地球科学のためのリソースが得られる。
現代世界は、例えば全地球測位システムの運用や高頻度金融取引の同期化などのために、正確な計時に大きく依存している。
Peter KomarとMikhail Lukinたちは、精密計測と量子技術を組み合わせて、個々のいかなる原子時計よりも優れた計時安定性を、量子もつれを共有する原子時計のネットワークによって実現できることを示している。原子時計は地球のあちこちや人工衛星に分散しているので、原子時計のネットワークは複数の関係者の標準時を維持し同期できる可能性がある。つまり、真の世界時計である。さらに、原子時計の量子ネットワークは、まさにそれ自体が持つ性質によって量子暗号攻撃から守られるであろう。
doi:10.1038/nphys3000
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
動物学:雌のボノボは団結し、雄に対して優位性を発揮するCommunications Biology
-
量子物理学:通信インフラを活用した長距離量子通信Nature
-
人類学:カルタゴとフェニキアの間に家族的なつながりはほとんどないNature
-
気候変動:温暖化が進む世界で急激な「気温の変化」が増えているNature Communications
-
健康:高血圧の治療は認知症リスクを低減するかもしれないNature Medicine
-
気候:都市のヒートアイランド現象による気温関連死の評価Nature Climate Change