【化石】シルル紀の大型魚という大発見
Scientific Reports
2014年6月12日
約4億2300万年前に生息していた魚の化石が発見され、その当時存在していた古代の生物に関する新たな手掛かりが得られた。この魚の体長は、約1メートルと推定され、現在知られている当時の脊椎動物(背骨のある動物)のいずれと比べてもはるかに大きい。これまで3億8000万年前より以前の岩石から大型魚の化石が見つかっていなかったため、当時は酸素濃度が低かったので成長が抑えられていたと考えられていた。今回の発見は、そうした仮説に対する反証となっている。
今回、Min Zhu、Brian Chooたちは、中国雲南省のシルル紀後期の堆積層から発掘された化石をもとにして、この新しい魚について記述している。この化石魚は、顎の長さが17センチと推定され、鋭くないが強靭な歯を持ち、殻の硬い獲物を食べるのに適していたという見方を論文著者は示している。こうした特徴は、この魚に付けられた名称であるMegamastax amblyodusに反映されている。これは、「大きな口と鋭くない歯」という意味のギリシャ語に由来している。
デボン紀(約3億5800万年~4億1900万年前)は、初期の有顎脊椎動物の体の大きさと多様性の点で主要な転換期だったと考えられている。例えば、大型の捕食魚類が初めて登場したのが、この時期だった。最近までは、デボン紀の前のシルル紀において最も大きな有顎脊椎動物の体長が約35センチとされていた。今回、体長1メートルのシルル紀の捕食魚が発見されたことは、デボン紀以前にも比較的大きい生物が存在していたことを示す証拠となっている。
doi:10.1038/srep05242
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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