後悔するラット
Nature Neuroscience
2014年6月9日
ラットが後悔に相当する行動を示すとの報告が、今週のオンライン版に掲載される。
Redishたちは、ラットを訓練して、4つの報酬領域を次々に通過しながら円を描いて走るという「レストラン街 (restaurant row)」という課題をさせた。それぞれの領域では給餌器が風味の異なる食物を提供し、実験を通じてその食物は一定にした。報酬領域にラットが止まるたびに音が出て、特定の風味を持つ報酬を受け取るのにそこでどのくらい待たなければならないかを知らせるようにした。ラットは、どの食物がどの程度好きなのかと、どのくらい待たなければならないかの2点に基づいて、報酬領域に留まるか立ち去るかを選ばなければならない。
時にラットは好みと待ち時間の適度な組み合わせをやり過ごしてしまい、次の領域ではもっと悪い組み合わせしか提供されないことを知ることになる。このような状況で、ラットはしばしば通り過ぎてしまった報酬領域を振り返り、次の領域で長い待ち時間が過ぎ去るのを受け入れ、大急ぎで報酬を消費しようとした。これらの行動は、後悔の表出と見なされる。
期待される成果についての情報を符号化するとされる脳構造は、失った好機についての信号も符号化している。ラットが報酬を受け取ると予期したとき、眼窩前頭皮質と腹側線条体にあるニューロンが風味によって特異的な活動パターンを示し、この特徴的なパターンはまた、ラットが風味報酬を受けられたかもしれない領域を振り返ったときにも同じく見られた。この研究は、齧歯類では後悔に似た過程が意思決定に影響を及ぼす場合があることを示唆している。
doi:10.1038/nn.3740
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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