Research Press Release
血液細胞におけるY染色体欠失と発がんリスクの結びつき
Nature Genetics
2014年4月29日
高齢者の血液細胞におけるY染色体の自然欠失変異と高いがん発症率との関連について報告する論文が、今週のオンライン版に掲載される。この新知見は、がんのリスクを予測する手段として、Y染色体自然欠失の血液検査を利用できる可能性を示唆している。
性別特異的でないがんの発症リスクは、女性よりも男性の方が高いが、その理由は解明されていない。今回、Lars Forsbergたちは、遺伝的原因の可能性を探るため、スウェーデンの男性高齢者1600人以上の血液を採取して、DNA解析を行った。男性の場合、通常、加齢によって血液細胞の一部でY染色体自然欠失が起こるが、今回の解析では、Y染色体自然欠失の占める割合の大きな男性の方が、がんのリスクが高く、その生存期間は、Y染色体自然欠失の少ない男性よりも平均で5年半短いことが判明した。この解析結果の妥当性は、これよりやや年下の男性の集団で確認された。
doi:10.1038/ng.2966
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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