Research Press Release
ヨーロッパ冬季の気象の9月予報
Nature Geoscience
2014年3月24日
ヨーロッパ冬季の気温と降雨に対する熟練した予測は、北極海氷被覆の変化に基づいて、遅くともその前の9月には行うことができるとの報告が、今週のオンライン版に掲載される。この発見は、ヨーロッパ冬季の天気予報に対する先行時間を3か月に延長し、北極海氷変動を季節予報のシステムに用いる必要があることを示唆している。
現在の気候予測システムが直面している障害の1つは、ヨーロッパ-大西洋地域の12月から2月の間の大気変動に対する主要なモードである、北大西洋振動(NAO)の予測可能性である。NAOはこの地域の地表温度と降水量変動に大きな影響を与え、北大西洋の嵐とも関連性がある。
Javier Garcia-SerranoとClaude Frankignoulは、特にスカンジナビアとロシア北部のバレンツ海とカラ海の北極海秋季海氷被覆と、その3か月後のNAOとの間に強い相関があることを同定した。彼らは、この関連性をヨーロッパ冬季の気象に対する熟練した予報に用いることができることを示した。著者たちは、ユーラシアの積雪被覆を予測変数に加えることで先行時間を2か月に短縮すれば、予測はさらに改善することもできると報告している。
doi:10.1038/ngeo2118
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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