Research Press Release
炎症に「POP」で打撃
Nature Immunology
2014年2月17日
分子センサーは、細胞に侵入するウイルスを感知し、防御作用を持つ炎症応答の引き金を引くが、これらのセンサーを制御する仕組みが明らかになった。この研究は、特定のウイルスに対する応答を調節する治療法につながるかもしれない。
細胞内でDNAウイルスが検出されると、「AIM2様インフラマソーム」と呼ばれる分子センサーが形成される。Christian Stehlikたちは、POP3と呼ばれるヒトタンパク質がこれらのインフラマソームの形成を特異的に阻害し、従って炎症応答を抑制することを発見した。Stehlikたちは、マクロファージ(免疫系の重要な細胞の一種)で強制的にPOP3を発現させることのできるトランスジェニックマウスを作製した。これにより、POP3の作用を生体内で解析することができる。すると、ヒト細胞でのデータと同様に、マウスで発現させたPOP3が、抗ウイルス応答だけでなく炎症も抑制することが分かった。この知見は、POP3が新しい抗炎症治療、抗ウイルス治療の開発の材料として役立つ可能性があることを示している。
doi:10.1038/ni.2829
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
がん:膵臓がんまたは大腸がんの患者において有望な効果を示すワクチンNature Medicine
-
生態学:熱波が熱帯の鳥類の個体数減少と関連しているNature Ecology & Evolution
-
気候変動:ペリト・モレノ氷河の後退が最近大幅に加速Communications Earth & Environment
-
考古学:スペインの洞窟で新石器時代の人肉食の証拠が発見されるScientific Reports
-
気候変動:鉱物資源の不足が低炭素化移行を制限する可能性Nature Climate Change
-
人類の進化:スラウェシ島における初期ホミニンの居住Nature