Research Press Release
【化学】二酸化炭素の有効利用
Nature Communications
2014年2月12日
一酸化炭素ではなく、二酸化炭素を利用して有用な化学製品を作製する新しい方法について報告する論文が、今週掲載される。二酸化炭素は、大量に発生する廃棄物だが、非常に安定しているため、価値の高い化学物質に変換することが難しい。それと比べて、一酸化炭素は、もっと有害で、利用しにくい化合物だ。今回報告されている方法は、簡便で低コストに二酸化炭素を活性化する方法となっており、既存の化学過程に組み込むことができ、これを利用して、日常的なプラスチックのような材料を作製できる可能性がある。
今回、Matthias Bellerたちは、エステル合成過程について研究した。エステルは、洗剤やプラスチックの工業生産に利用される化合物だ。エステル合成過程に伝統的に用いられるのは一酸化炭素だが、反応性の高い化学物質であり、その毒性と引火性のために数々の課題がある。これに対して、Bellerたちは、少量の金属触媒とアルコールを添加することで、二酸化炭素を代替物質として利用し、従来の合成系より高い性能を実現できることを明らかにした。
doi:10.1038/ncomms4091
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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