Research Press Release
体細胞の再プログラム化を制御するRNA
Nature Genetics
2010年11月8日
体細胞の再プログラム化とは、ある1つの運命に従って分化した細胞を誘導多能性幹細胞に変換するために用いられる過程のことだが、今回、体細胞の再プログラム化を制御する長鎖非コードRNA(lincRNA)が同定された。この研究により、体細胞の再プログラム化におけるlincRNAの機能が初めて実証された。研究成果を報告する論文は、Nature Genetics(電子版)に掲載される。
lincRNAは、哺乳類ゲノムにコードされており、進化的に保存されている。lincRNAにはタンパク質がコードされていないが、RNA分子が何らかの機能を果たしている。lincRNAが数多く存在していることは知られているが、生物学的役割の判明しているlincRNAは非常に少ない。
今回G Daleyらは、その1つであるlincRNA-RoRが、線維芽細胞と血液細胞の誘導多能性幹細胞への再プログラム化を制御していることを報告し、さらには、lincRNA-RoRの発現レベルが上昇すると再プログラム化の効率が向上することも明らかにしている。
doi:10.1038/ng.710
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
化石:最も古く知られている「爬虫類」の足跡Nature
-
惑星科学:月内部の非対称性を示す証拠Nature
-
古生物学:「シカゴ」始祖鳥が、この古代鳥に新たな知見をもたらすNature
-
理論物理学:二体問題を解くNature
-
がん:乳がん治療薬の臨床試験で生存率の向上が示されたものの、がんの消失は限定的であったNature Communications
-
Nature Scientist at Work コンペティションの受賞者の発表Nature