Research Press Release
極端なエルニーニョ現象の頻度が高まる恐れ
Nature Climate Change
2014年1月20日
このほど極端なエルニーニョ現象の頻度に対する気候変動の影響を調べる研究が行われ、その結果を報告する論文が、今週オンライン版に掲載される。
エルニーニョは、非人為的な気候変化の特徴の1つであり、その影響は全世界に及ぶ。極端なエルニーニョ現象が起こると、気象パターンが全球的に崩壊し、降水量の変化を通じて生態系と農業が影響を受ける。
今回、Wenju Caiたちは、気候モデルを用いて、東部赤道太平洋での海面温暖化の進行によって、極端なエルニーニョ期の頻度が倍増することを明らかにした。東部赤道太平洋は、周辺水域より温暖化のペースが速く、海面水温勾配が小さくなっており、その結果、極端なエルニーニョ期の発生に必要とされる大気の対流層の移動が起こる。これまでの研究では、エルニーニョの変化に関して一貫した結論が得られていなかったが、今回は、それとは対照的な結果となった。Caiたちは、エルニーニョ期の頻度が高まることで、今後、壊滅的な気象事象の頻度も高まると考えている。
doi:10.1038/nclimate2100
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
考古学:古代のゲノムからアバール人コミュニティーの社会組織と権力の再編が明らかになったNature
-
天体物理学:マグネターの巨大フレアという珍しい現象が観測されたNature
-
創薬:脳オルガノイドを使って神経発達障害の治療法を検証するNature
-
医学:実験室で培養された「ミニ結腸」をがん研究に用いるNature
-
遺伝学:鳥の歌のリズムを調べるNature Communications
-
心理学:画像の特徴は時間の経過の感じ方に影響を及ぼす可能性があるNature Human Behaviour