【核融合】中性子を生成しない熱核融合反応を起こす方法
Nature Communications
2013年10月9日
有害な高エネルギー中性子を生成しない熱核融合反応によってエネルギーの放出を得る方法が明らかになった。この方法を用いれば、核融合発電のための新しい燃料の探索ができ、星で起こる核反応の研究をこれまでより幅広く行えるようになるかもしれない。
原子核融合は、超高温、超高圧という条件下で、軽い原子核が融合して重い原子核になる反応のことだ。これによって、大量のエネルギーが放出されるため、基本的に無尽蔵の電力が得られる可能性がある。しかし、原子核融合の利用研究には数々の課題がある。その1つが、現行技術によって反応条件を制御できる可能性の最も高い重水素とトリチウムの核反応によって高エネルギーの中性子が生成されることだ。それを抑制するには、核融合炉の中核部分の周囲を厳重に遮蔽する必要があるが、その結果として、核融合炉の壁自体が放射性を帯びてしまう。
今回、Christine Labauneたちは、水素とボロン11の原子核を融合する1つの方法を実証した。この核融合反応は、ベリリウム8とアルファ粒子(ヘリウム原子核)を生成するが、中性子を生成しないのだ。つまり、Labauneたちが、レーザーで生成されたボロンイオンのプラズマにレーザー駆動の陽子(水素原子核)の短く強力なビームを衝突させたところ、アルファ粒子が放出されたが、問題を起こす可能性のある中性子は生成されなかった。そして、そのアルファ粒子のエネルギーは、水素とボロン11の原子核融合によって放出されるエネルギーに匹敵することが検出された。
今回の研究結果をもとにLabauneたちが推定する反応速度は、水素とボロン11の核融合反応について過去に報告された反応速度の10倍以上となっている。これでも発電に必要な反応速度には大きく届かないが、Labauneたちは、新しい核燃料と新しい原子核融合法の開発のために、この原子核融合反応やその他の反応を研究するうえで今回の研究結果が有益だと考えている。また、この方法は、星のコアで起こる多様な核反応の解明を進めるうえでも役立つ可能性がある。
doi:10.1038/ncomms3506
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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