Research Press Release
DNA切り紙でナノスケール形状を作る
Nature Nanotechnology
2010年10月4日
DNAからナノスケール版メビウスの輪が作製されたことが、Nature Nanotechnology(電子版)に報告されている。メビウスの輪は面が1つしかない帯状構造体であるが、今回報告されたメビウスの輪は、折りたたんだDNA鎖を自己集合させて形成したものであり、輪を長さ方向に切断することによってさまざまな形状の構造体を得ることができる。新しい分子デバイスの作製に、このようなメビウスの輪型構造体が利用できるようになるかもしれない。
メビウスの輪は、帯状の紙を半回転ひねって両端どうしを接着し、ループ状にしたものである。H Yan、Y Liuらは、「DNA折り紙」として知られる手法(長い1本鎖DNAを、短い鎖で「ホチキス留め」しながら折りたたんで所定の形状を作る)で、ナノスケール版メビウスの輪を作製した。今回の改良型DNA折り紙は、紙を折って切る日本の切り紙に似ているため、著者らによって「DNA切り紙」と名付けられた。この手法を利用すれば、例えば金属ナノ粒子などの機能性材料が特定の位置に取り付けられているような、独特なナノスケール形状体を組み立てることができるかもしれない。
doi:10.1038/nnano.2010.193
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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