Research Press Release
【材料】クモの糸に導電性を与えて高性能センサーの開発をめざす
Nature Communications
2013年9月11日
クモの糸をカーボンナノチューブで被覆して作った強力で柔軟な導電性繊維について記述された論文が、今週掲載される。今回の研究で、この材料をエレクトロニクス用途に利用する道が開かれた。
クモの糸は、すぐれた強度と柔軟性など、構造的に有益な特性を数多く備えており、電子デバイスでの利用で注目を集める可能性があるが、エレクトロニクス用途で利用できるかどうかは、導電性材料との適合性にかかっている。今回、Eden Stevenたちは、クモの糸を導電性カーボンナノチューブで被覆するための合成方法を開発した。この方法で作製される材料は、被覆されていない導電性繊維より靭性が高く、この新材料の導電性は糸の物理的歪と湿度に依存している。今回の結果は、この材料を用いたさまざまなセンサー(例えば、心臓パルスセンサー)の実証を通じて、クモの糸を用いた電気デバイスのさらなる開発に役立つことが期待されている。
doi:10.1038/ncomms3435
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
動物学:雌のボノボは団結し、雄に対して優位性を発揮するCommunications Biology
-
量子物理学:通信インフラを活用した長距離量子通信Nature
-
人類学:カルタゴとフェニキアの間に家族的なつながりはほとんどないNature
-
気候変動:温暖化が進む世界で急激な「気温の変化」が増えているNature Communications
-
健康:高血圧の治療は認知症リスクを低減するかもしれないNature Medicine
-
気候:都市のヒートアイランド現象による気温関連死の評価Nature Climate Change