Research Press Release

一時的なRNA治療が心臓に効果

Nature Biotechnology

2013年9月9日

心臓発作のマウスモデルを使った研究で、治療用タンパク質の長期的な発現をもたらす従来のDNA導入法に比べ、修飾RNAを用い、タンパク質発現が数日間に限定される方法の方が有効なことが明らかになった。この研究が示唆するように、修飾RNAは、組織固有の幹細胞を活性化して損傷組織を修復させる治療法に利用できる可能性がある。

Kenneth Chienたちは、心臓発作の実験モデルである冠動脈結紮マウスを使い、体内で安定になるよう化学修飾したRNAを投与した。このRNAによって、血管の成長を刺激することが知られている成長因子が発現する。Chienたちは、このRNAを使って数日間だけ成長因子を発現させると、マウスの生存が最長で1年間延び、DNAを利用した方法によって成長因子をもっと長期間発現させた場合よりも効果が高いことを発見した。またこの治療により、心臓組織固有の幹細胞の分化が促進され、血管の内層を構成する細胞へと変化する。この細胞は、心臓発作による組織の虚血性損傷を改善するのに必要となる。

doi:10.1038/nbt.2682

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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