Research Press Release
1遺伝子変異ヒト細胞のコレクション
Nature Methods
2013年8月26日
1株について遺伝子が1個だけ変異した3000株を超えるヒト細胞系統のコレクションが、今週オンライン版で報告される。ますます充実するこのコレクションは、シグナル伝達や代謝、分泌、転写など、ヒト細胞のさまざまな生物学的過程の機能研究にとってこの上ないリソースになると考えられる。
モデル生物の1遺伝子ノックアウト株のコレクションは、遺伝子機能の研究にきわめて有用である。しかしそのような研究は、特に疾患に関係する遺伝子の研究では、ヒトの実験系で行うことが望ましい場合も多い。
その要求に応えるべく、Sebastian Nijmanたちは、1株ごとに異なる1遺伝子が変異した以外は遺伝学的に同一のヒト細胞のコレクションを発表している。このリソースは、ゲノムの大部分が通常のヒト体細胞の2コピーではなく1コピーのみとなっている既報の細胞株に基づいて構築されている。このことは、1コピーのみを標的とすればよいことから、体系的に各遺伝子を変異させるという本来であれば時間のかかる作業を大幅に軽減させる。研究チームは、発現するヒトゲノムの3分の1に当たる3396個の遺伝子を対象として標準的な方法を用い、このコレクションを作り上げた。
doi:10.1038/nmeth.2609
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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