Research Press Release

薬剤耐性を獲得しやすい結核菌株

Nature Genetics

2013年6月10日

特定の系統の結核菌株に感染した結核患者は、薬剤耐性を獲得するリスクが、他の結核患者より高いことが明らかになった。

今回、Sarah Fortuneたちは、東アジアの系統で、薬剤耐性率の高いLineage 2に由来する結核菌の臨床分離株と欧米の系統であるLineage 4に由来する結核菌の臨床分離株を比較し、実験室で培養した場合にLineage 2の結核菌株の方が、Lineage 4の結核菌株より早期に薬剤耐性を獲得することを見いだした。次に、Fortuneたちは、この結果が、ヒトでの感染と関連するかどうかを調べるため、カナダ・ブリティッシュコロンビア州での結核の大流行の際に採取された結核菌株のゲノム塩基配列との比較を行い、その結果を用いて、それぞれの系統について、in vivoでの結核菌の変異率を見積もった。その後、Fortuneたちは、数理モデルを作成して、患者における薬剤耐性の出現のシミュレーションを行い、Lineage 2由来の結核菌株に感染した患者の方が多剤耐性を起こすリスクが高いことを明らかにした。

doi:10.1038/ng.2656

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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