Research Press Release
ビオチンの謎が解明された
Nature Chemical Biology
2010年8月9日
ビタミンB複合体に含まれるビオチンの生合成の仕組みに関する報告が、Nature Chemical Biology(電子版)に寄せられている。ビオチンが発見されたのは70年以上前であるが、ビオチン合成の初期段階は長年にわたって明らかにされていない。今回の成果は、細菌発酵によるビオチン生産を可能にすると考えられる。
ビオチンは炭水化物や脂質、タンパク質の代謝で重要な役割を担っており、生命にとって極めて重要な栄養素である。その生合成に関与する2つの遺伝子、BioCおよびBioHは、既に同定されている。しかし、バイオインフォマティクス分析で予想される機能は、ビオチン生成に必要と予想されたステップと一致していなかった。
J Cronanたちは、両遺伝子がビオチンの形成を完結させるのではなく、ビオチン前駆体に手を加えてほかの細胞装置にそのステップを完了させていることを発見した。
doi:10.1038/nchembio.420
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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