Research Press Release
ウイルスと宿主とのはざまに
Nature Chemical Biology
2010年5月17日
新たに設計した小分子でHIVと宿主との相互作用を遮断することによって、HIVの複製を阻害することができるという論文が、Nature Chemical Biology(電子版)で発表される。
HIV-1がもつ酵素インテグラーゼと細胞の補因子LEDGF/p75との相互作用は、ウイルスの組み込みで重要な役割を演じている。Z Debyser たちが設計した小分子はこの相互作用を遮断し、臨床使用されているインテグラーゼ阻害剤に耐性をもつ系統のHIVでもその複製を阻害する。
この研究は、HIVインテグラーゼを阻害するための新たなメカニズムを示すとともに、ウイルスタンパク質と宿主細胞の因子とのタンパク質間相互作用を阻害する小分子が設計可能であることを明らかにした。
doi:10.1038/nchembio.370
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
神経科学:COVIDパンデミックが英国の成人の脳の老化を早めることに関連するNature Communications
-
社会科学:週4日勤務制が労働者のウェルビーイングを向上させるNature Human Behaviour
-
動物の行動:犬のテレビを視聴する習慣は性格によって異なるScientific Reports
-
疫学:欧州における鳥インフルエンザ発生の主な予測因子が特定されるScientific Reports
-
素粒子物理学:CERNで観測されたつかみどころのない物質と反物質の非対称性Nature
-
古生物学:獲物に忍び寄るための古代爬虫類の特殊なヒレNature