Research Press Release
ストレスを利用して免疫を維持
Nature Immunology
2010年3月29日
体のストレス応答にかかわる情報伝達分子が、免疫系の抗微生物応答にもかかわっていることが明らかになった。
多くの細菌には共通した特有の分子成分があり、免疫細胞の「パターン認識受容体」がこれをすばやく認識し、警戒態勢に入り、免疫応答を活性化する。L Glimcherたちは、このような受容体の一部が、XBP1も活性化することを発見した。XBP1は、細胞のストレス応答を制御することが知られている。結核、野兎病、リステリア症などの原因菌をはじめ、主要な細菌病原体がこのXBP1経路を活性化することがわかった。
細胞死につながることもある典型的ストレス応答とは異なり、微生物成分によるXBP1の活性化は宿主の炎症応答を促進する。この応答が細菌数を減らし、感染の制御に役立つ。
doi:10.1038/ni.1857
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
がん:膵臓がんまたは大腸がんの患者において有望な効果を示すワクチンNature Medicine
-
生態学:熱波が熱帯の鳥類の個体数減少と関連しているNature Ecology & Evolution
-
気候変動:ペリト・モレノ氷河の後退が最近大幅に加速Communications Earth & Environment
-
考古学:スペインの洞窟で新石器時代の人肉食の証拠が発見されるScientific Reports
-
気候変動:鉱物資源の不足が低炭素化移行を制限する可能性Nature Climate Change
-
人類の進化:スラウェシ島における初期ホミニンの居住Nature