半分眠っているだけ
Nature Medicine
2010年3月15日
エイズウイルスは、抗レトロウイルス治療を受けている患者でも活発に複製し、免疫活性化を促進するとの報告が寄せられている。
高活性抗レトロウイルス療法(HAART)を行うと、エイズウイルス(HIV-1)が恒久的に抑制されるが、治療を中断するとHIV-1が再び複製を始める。一般にHAART治療中の患者ではウイルスの活発な複製は止まっていると考えられているが、免疫活性化と炎症は異常なレベルのまま持続し、ウイルスの複製が低レベルで続いていることを示唆している。
J Martinez-Picadoたちは、HAART治療中の患者でもHIV-1の活発な複製が持続しているのか、またそれが免疫活性化の原因となっているのかを調べた。抗レトロウイルス薬を追加投与する強化療法を行ってHIVの複製産物がゲノム中に組み込まれるのを防ぐという方法を用いたところ、HAART治療中の患者ではかなりの割合で、HIV-1の複製産物が特異的に一時的に増加しているのが検出された。
重要なのは、これらの患者では薬剤を追加する前は免疫活性化レベルが亢進しているが、強化療法後は正常に戻ることである。これらの結果が示すように、一部の患者では、抑制性HAART治療を行っているにもかかわらずHIV-1の活発な複製が持続し、免疫活性化を促している。この活発な複製を標的にした治療を強化すれば、HAART治療中の患者に残っているHIV-1リザーバーの破壊を促進できるかもしれない。
doi:10.1038/nm.2111
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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