Research Press Release
エンケラドスの熱流量
Nature Geoscience
2010年1月11日
土星の月であるエンケラドスの南極地域でのみ観測されている水蒸気の巨大なジェットは、月の地殻が大変動によって更新される出来事の前兆が現れたものとして説明できる。Nature Geoscience(電子版)に発表される研究は、そのような強力な対流の出現が、太陽系のほかの氷衛星の表面を形作る役割を果たした可能性があることを示唆している。
C O’NeillとF Nimmoは、エンケラドスの氷マントルの対流をシミュレーションした。彼らは、エンケラドスの氷マントルの一部が内部に戻っていく偶発的な出来事によって、月の南極地域における現在の活動と熱の損失だけでなく、エンケラドスでみられる極度に変形した表面を説明することができることを見つけた。彼らの見積もりでは、大変動の対流は1億~10億年に一度の頻度で発生し、最近のものは約1,000万年前に起きたとのことである。
著者らは、我々は現在、エンケラドスでまれにしか起こらない表面を更新する出来事の、まだ1~10%しか起きていない時期を見ていると結論付けている。
doi:10.1038/ngeo731
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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