Research Press Release
薬剤耐性小児白血病において同定された変異
Nature Genetics
2013年2月4日
細胞質内の5'-ヌクレオチダーゼをコードするNT5C2遺伝子の変異が、急性リンパ芽球性白血病(ALL)の小児患者における化学療法抵抗性の一因であることを報告する論文が、今週のオンライン版に掲載される。
ALLは、最も一般的な小児悪性病変であり、小児がん全体の25%以上を占めている。治癒率は高いが、患者の10~20%で再発する。再発性の小児急性リンパ芽球性白血病の場合、内因性薬剤耐性のために予後が思わしくない。しかし、この薬剤耐性を仲介する生物学的経路はわかっていない。
今回、W Carrollたちは、同じALL患者から診断時と再発時に得た骨髄試料を10人分集め、RNA塩基配列解読(RNA-seq)を行った。その結果、2人の患者においてNT5C2遺伝子の再発特異的変異が同定され、さらに、61の再発試料でNT5C2遺伝子の変異が5つ同定された。また、Carrollたちは、変異型NT5C2タンパク質の酵素活性が亢進しており、ヌクレオシド類似体療法を行った培養細胞が耐性を獲得したことも明らかにした。
doi:10.1038/ng.2558
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
動物学:雌のボノボは団結し、雄に対して優位性を発揮するCommunications Biology
-
量子物理学:通信インフラを活用した長距離量子通信Nature
-
人類学:カルタゴとフェニキアの間に家族的なつながりはほとんどないNature
-
気候変動:温暖化が進む世界で急激な「気温の変化」が増えているNature Communications
-
健康:高血圧の治療は認知症リスクを低減するかもしれないNature Medicine
-
気候:都市のヒートアイランド現象による気温関連死の評価Nature Climate Change