Research Press Release
孤立性線維性腫瘍におけるNAB2-STAT6遺伝子融合
Nature Genetics
2013年1月14日
孤立性線維性腫瘍(SFT)の症例の少なくとも半数で、2個の特定の遺伝子の融合が起こることを報告する2編の論文が、今週、オンライン版に掲載される。SFTは、稀な腫瘍で、肺を覆う膜である胸膜で発生することが最も多いが、軟組織部位でも発生する。
今回、A Chinnaiyanたちは、SFTを再発した患者に由来するSFTのエキソームの塩基配列を解読して、NAB2遺伝子とSTAT6遺伝子の融合を検出した。また、合計51症例の孤立性線維性腫瘍の解析が行われ、すべての症例で、NAB2遺伝子とSTAT6遺伝子の融合が同定された。さらに行われた実験では、NAB2-STAT6融合の発現によって、細胞増殖が増えた。このことは、この遺伝子融合がSFTの発症に関連している可能性を示す新たな証拠となった。
一方、M Meyersonたちは、17例のSFTについて、全エキソーム塩基配列解読を行った結果を報告している。また、53例のSFTについての解析も行われ、そのうちの29例(55%)にNAB2-STAT6遺伝子融合が存在することが明らかになった。
doi:10.1038/ng.2509
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
化石:最も古く知られている「爬虫類」の足跡Nature
-
惑星科学:月内部の非対称性を示す証拠Nature
-
古生物学:「シカゴ」始祖鳥が、この古代鳥に新たな知見をもたらすNature
-
理論物理学:二体問題を解くNature
-
がん:乳がん治療薬の臨床試験で生存率の向上が示されたものの、がんの消失は限定的であったNature Communications
-
Nature Scientist at Work コンペティションの受賞者の発表Nature