Research Press Release
【電子工学】自動車用の高耐久性燃料電池に向けた一歩
Nature Communications
2012年10月10日
電気自動車の燃料電池への利用が期待される新しい安定な電極材料について述べた論文が、今週、Nature Communicationsに掲載される。現在の燃料電池用電極材料は、動作条件下で劣化することがあり、自動車業界は、燃料電池の商業利用に及び腰になっている。今回開発された材料は、高耐久性で、高活性な新種の電極触媒を作製するために用いられる。
今回、K Sasakiたちは、プラチナで被覆されたパラジウム金合金ナノ粒子からなる非常に安定なナノ粒子電極触媒を開発した。これよりも単純なプラチナ触媒の場合には、動作中の溶解とナノ粒子の損失という問題があるが、この新しい触媒は、さまざまな電圧での合計10万回の燃料電池サイクルを経ても、最小限の劣化しか起こさなかった。ナノ粒子の核にあるパラジウムに、触媒の安定性と活性を高める作用があるのだ。
燃料電池は、化石燃料に代わる自動車用燃料としての利用可能性を秘めた技術の一つで、今回の研究は、商業的に実現可能な技術の開発に役立つことが期待される。
doi:10.1038/ncomms2124
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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