Research Press Release
放射能中毒(急性放射線症候群)の治療の新薬候補
Nature Medicine
2012年6月25日
急性放射線症候群の治療薬の新たな候補が2つ見つかった。
Hartmut Geigerたちは、遺伝子スクリーニングを行ってマウスの放射線感受性の新しい調節因子を同定し、血液凝固と炎症を制御するある経路が、意外なことに放射線障害に対する防御作用をもつことを発見した。この経路では、トロンボモジュリンというタンパク質が働いて、抗凝固作用、抗炎症作用をもつ活性型プロテインCの生成を助ける。遺伝子組み換えによるトロンボモジュリンや活性型プロテインCを静脈内注入すると、全身に放射線照射したマウスの死亡を防ぐことができた。
トロンボモジュリンも活性型プロテインCも、これまでヒトの他の病気に利用されており、用途を変えて急性放射線症候群の治療にも利用できるかもしれない。
doi:10.1038/nm.2813
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
考古学:古代のゲノムからアバール人コミュニティーの社会組織と権力の再編が明らかになったNature
-
天体物理学:マグネターの巨大フレアという珍しい現象が観測されたNature
-
創薬:脳オルガノイドを使って神経発達障害の治療法を検証するNature
-
医学:実験室で培養された「ミニ結腸」をがん研究に用いるNature
-
遺伝学:鳥の歌のリズムを調べるNature Communications
-
心理学:画像の特徴は時間の経過の感じ方に影響を及ぼす可能性があるNature Human Behaviour