Research Press Release
【筋肉変性】海綿の産生する有毒物質が筋萎縮症候群を防ぐ
Nature Communications
2012年6月13日
マウスの実験で、海綿から単離された化合物に筋肉変性を防ぐ効果が認められた。この化合物は、ヒトでの検証は行われていないが、筋萎縮症候群の治療薬の開発につながる可能性がある。この研究成果を報告する論文は、今週、Nature Communicationsに掲載される。
がんや敗血症の患者には過度の体重減少や骨格筋の萎縮が多く見られるが、これを「悪液質(筋萎縮症候群)」という。悪液質は、がん関連死因の30%を占めているが、今のところ有効な治療法がない。今回、I Gallouziの研究チームは、海綿によって産生される有毒な化合物「パテアミンA」を腫瘍関連悪液質のマウスモデルに投与する研究を行った。その結果、低用量のパテアミンAにマウスの筋肉量の減少を防ぐ効果のあることが判明した。また、培養した筋細胞を用いた実験では、パテアミンAがiNOSタンパク質の産生を特異的に阻害することがわかった。iNOSは、悪液質の発生に関与することが知られている。
doi:10.1038/ncomms1899
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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