医学:サイケデリックはうつ症状を素早く軽減できる
Nature Medicine
2026年2月17日
心理的サポートをともなうサイケデリック薬(幻覚剤)ジメチルトリプタミン(DMT:dimethyltryptamine)の単回投与は、大うつ病性障害の成人34名において、うつ症状を速やかに軽減する臨床試験の結果を報告する論文が、Nature Medicine にオープンアクセスで掲載される。この改善効果は、その後2週間にわたり持続し、この短時間で実施可能な治療がほかの持続時間の長いサイケデリック治療と比べて、より実用的な治療法となり得ることを示唆している。
大うつ病性障害は、世界的な障害の主要な原因ではあるものの、多くの患者は既存の治療に効果が認められず、性機能障害、体重増加、および睡眠障害などの副作用もともなうことも多い。特にシロシビン(psilocybin;マジックマッシュルームに含まれる化合物)を用いた手法を含むサイケデリック支援療法は、有望視されている。しかし、シロシビンのサイケデリック効果は約2時間持続するため、治療セッションの時間が長くなり、スケールアップが困難であった。これに対し、DMTは即効性を持つサイケデリック薬であり、静脈内投与により約30分間の短時間の主観的なサイケデリック効果をもたらす。しかし、このような即効性を持つサイケデリック薬がシロシビンと同等の抗うつ効果をもたらすかは不明であった。
David Erritzoeら(インペリアル・カレッジ・ロンドン〔英国〕)は、大うつ病性障害の成人34名を対象とした2段階の臨床第2相試験を実施した。参加者は、最初の盲検化段階でDMTまたはプラセボを無作為に割り当てられた。2週間後、オープンラベル段階(参加者と研究者が投与内容を認識)に移行し、全参加者がセラピストの支援のもと、DMTを投与された。2週間後、第1段階でDMTを投与された群は、プラセボ群と比較して、臨床診断ツールであるモンゴメリー・アスベルグうつ病評価尺度(MADRS:Montgomery-Åsberg Depression Rating Scale)における抑うつスコアの減少幅が大きく、1週間後にはすでに改善の効果が現れていた。オープンラベル期では、抗うつ効果は12週間持続し、1回投与群と2回投与群の間でモンゴメリー・アスベルグうつ病評価尺度のスコアに差は認められなかった。有害事象の多くは、軽度または中等度(点滴部位の痛み、吐き気、および一時的な不安など)であり、重篤な治療関連の有害事象は報告されなかった。
著者らは、DMTが大うつ病性障害の治療においてどの程度有効か、その効果がどの程度持続するか、また、既存の治療法と比較してどの程度なのかを確認するには、より大規模な研究が必要であると指摘している。
- Article
- Open access
- Published: 16 February 2026
Erritzoe, D., Barba, T., Benway, T. et al. A short-acting psychedelic intervention for major depressive disorder: a phase IIa randomized placebo-controlled trial. Nat Med (2026). https://doi.org/10.1038/s41591-025-04154-z
doi:10.1038/s41591-025-04154-z
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
医学:サイケデリックはうつ症状を素早く軽減できるNature Medicine
-
生物多様性:サンゴ礁の食物連鎖が短縮されているNature
-
ロボティクス:新しいビジョンシステムは人間より速く動きを認識できるNature Communications
-
地球科学:地球の核には水素の海が存在する可能性Nature Communications
-
医学:大規模言語モデルが一般市民の医療に関する意思決定を改善しないかもしれないNature Medicine
-
スポーツ:試合日には「サッカー熱」が最高潮に達するScientific Reports
