生物多様性:サンゴ礁の食物連鎖が短縮されている
Nature
2026年2月12日
現代のカリブ海のサンゴ礁における食物連鎖は、先史時代のサンゴ礁と比較して最大70%短縮されている可能性があることを報告する論文が、Nature にオープンアクセスで掲載される。この発見は、現代のサンゴ礁が外部ストレス要因や生態系崩壊に対して、より脆弱になっていることを示唆している。
サンゴ礁は、重要な海洋生態系だが、気候変動、過剰漁獲、および疾病などの脅威にさらされている。サンゴ礁の生物多様性において最も重要な側面の一つは、豊富かつ多様な摂食生物が存在し、それらがどのように相互作用するか、すなわち栄養段階多様性である。サンゴ礁への脅威が生態系内の魚類の食性に影響を与えたかは不明であり、こうした脅威の多くは、現代的な記録が残る以前から始まっているため、研究は限られている。
Jessica Lueders-Dumontら(ボストンカレッジ〔米国〕)は、パナマおよびドミニカ共和国における現代と先史時代(約7000年前)のサンゴ礁の栄養構造を比較した。著者らは、パナマおよびドミニカ共和国から採取した合計136点の化石化された魚と現生の魚の耳石(otoliths)およびサンゴに対し、窒素同位体分析を実施した。異なる窒素同位体の比率は、生物の食物連鎖における位置を反映するからである。分析の結果、現代の食物連鎖は先史時代のものより約60~70%短く、以前は食物連鎖の上位に位置していた種が下位へ移動していることが判明した。さらに、現代のサンゴ礁では先史時代のサンゴ礁と比べて食性の多様性が低下していることも確認された。この減少は、種間の食性特化の喪失(つまり、より多くの生物が共有資源をめぐって競争している状態)と、食物連鎖の上位および下位における獲物の減少が原因である可能性が高いと著者らは示唆している。
著者らは、栄養段階経路の減少と食物連鎖の短縮により、現代のカリブ海のサンゴ礁は環境変化や食物供給量の変化への対応能力が低下している可能性があると警告している。
- Article
- Open access
- Published: 11 February 2026
Lueders-Dumont, J.A., O’Dea, A., Dillon, E.M. et al. Fossil isotope evidence for trophic simplification on modern Caribbean reefs. Nature (2026). https://doi.org/10.1038/s41586-025-10077-z
doi:10.1038/s41586-025-10077-z
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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