Research Press Release

地球科学:地球の核には水素の海が存在する可能性

Nature Communications

2026年2月11日

地球の核に含まれる水素の大部分は、彗星衝突によるものではなく、惑星の形成過程で取り込まれた可能性が高いという実験結果を報告する論文が、オープンアクセスジャーナルNature Communications に掲載される。この発見は、核が地球上で最大の水素貯蔵庫であり、海洋に蓄積された量よりも多くの水素を含んでいる可能性を示唆している。

これまでの研究では、地球の金属核に大量の水素が存在すると考えられてきたが、その量を推定することは困難であった。従来の推定値は、幅が大きく、間接的な測定にもとづいていた。Dong yang Huangら(北京大学〔中国〕)は、この課題を解決するため、地球の核が形成された際の圧力と温度を実験室で再現した。

一連の実験で、著者らは核形成鉄合金中のケイ素および酸素が豊富なナノ構造体内の水素を、原子レベルで直接観測した。これらのナノ構造体で観測されたケイ素と水素の比率は、約1対1であった。この関係と、地球核のケイ素含有量に関する従来の推定値を用いて、著者らは地球の核が重量比で0.07~0.36%の水素を含む可能性があると推定した。これは、現在の海洋に存在する水素の9~45倍に相当する。著者らは、この量の水素は彗星衝突などの後期供給ではなく、惑星形成の主要段階において獲得された可能性が高いと提案している。

著者らは、高度な技術を用いても水素の定量化が困難であることや、初期地球の組成に関する仮定など、重要な不確実性を指摘している。地球深部における水素の役割をより厳密に特定するためには、これらの測定を精緻化し、より広範な条件へ拡張する今後の研究が必要である。

Huang, D., Murakami, M., Gerstl, S. et al. Experimental quantification of hydrogen content in the Earth’s core. Nat Commun 17, 1211 (2026). https://doi.org/10.1038/s41467-026-68821-6
 

doi:10.1038/s41467-026-68821-6

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