Research Press Release

幹細胞を脂肪産生細胞に変換する

Nature Cell Biology

2012年1月16日

白色脂肪細胞および褐色脂肪細胞として知られている2種類のヒト脂肪産生細胞を、ヒト多能性幹細胞から効率よく作り出す方法が報告されている。この研究は、褐色脂肪組織の活性が高く、そのためにボディマス指数(BMI)が低くなる病気の治療に役立つ可能性がある。 ヒト胚由来の多能性幹細胞、あるいは成体細胞を直接再プログラム化することで得られるヒト多能性幹細胞を用いて疾病の研究をする際には、多能性幹細胞を目的の種類の成体細胞に効率よく分化させる方法が必要となる。また、白色脂肪細胞や褐色脂肪細胞を幹細胞以外の供給源から得るために現在使われている方法は、比較的効率がよくない。C Cowanたちは今回、マウスで脂肪細胞の誘導にかかわっていることが以前に明らかにされている発現因子を使うことで、多能性幹細胞のほぼ90%が褐色もしくは白色脂肪細胞に分化することを明らかにしている。こうして得られた細胞は、脂肪異化機能やインスリン応答性があり、マウスに移入した際に白色脂肪組織や褐色脂肪組織に似た脂肪パッドを異所的に作り出すなど、成熟細胞の機能的性質を備えている。 この結果は、肥満などの脂肪細胞が関連する異常に関する研究に直ちに役立つと考えられる。

doi:10.1038/ncb2411

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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