動物学:大きな鳥は必ずしも鳥頭というわけではない
Scientific Reports
2025年2月21日
エミュー(emu)とレア(rhea) は、問題解決能力があるかもしれないことを示唆する、9羽の鳥の飼育下での集団を対象にした調査を報告する論文が、Scientific Reports に掲載される。その発見によると、両種は認知パズルに対して、個々の試行錯誤学習による複数の問題解決アプローチを示し、鳥類の進化分岐である古顎類(こがくるい;palaeognaths)にはこれまで関連付けられていなかった革新力を示した。
古顎類は、飛べないことや巨大化が進化した数種の鳥類を含む、小さなグループである。エミュー、ダチョウ、そして絶滅した巨大なモアなどがその例である。鳥類の認知能力に関する研究のほとんどは、カラスやオウムなど脳が大きい種の問題解決能力に焦点を当ててきたため、他の鳥類と比較して脳の相対的なサイズが小さい古顎類の認知能力については、ほとんど知られていない。
Fay Clarkらは、いくつかの動物園にいるエミュー3羽、レア2羽、およびダチョウ4羽の古顎類の鳥の、問題解決能力をテストするパズルを考案した。このパズルでは、ナットとボルトで固定されたプラスチック製の車輪に開けられた穴を、鳥が順番に並べ、ご褒美の餌を手に入れるというものだった。各鳥種には、最初に餌が自由に手に入るパズルを解いた状態を見せ、次に30分以内に完成させるよう、パズルを解いていない状態で与えた。3羽のエミューはすべて1回でパズルを解き、その後、パズルをリセットしても再度解けた。一方で、1羽のレアはパズルを正しく解かずに、パズルを分解し、ボルトをナットから緩めて5つの餌室をすべて露出させることで、餌を手に入れた。しかし、その後の挑戦では、レアは意図したとおりに車輪を回転させてパズルを解いた。ダチョウは、1羽も課題を解くことができなかった。
著者らは、この研究の限界として、パズルのデザインが比較的単純であったこと、より賢いカラスであればパズルを解くことができた可能性が高いことを指摘している。また、ダチョウの脳の相対的なサイズが小さいことが、パズルを解く能力の低さにつながった可能性があるとも述べている。また、古顎類の行動が一部の恐竜と類似していることが指摘されていることから、Clarkらは、革新力はこれまで考えられていたよりも早くに進化した可能性があるとも示唆している。
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- Published: 20 February 2025
Clark, F.E., Burdass, J., Kavanagh, A. et al. Palaeognath birds innovate to solve a novel foraging problem. Sci Rep 15, 4512 (2025). https://doi.org/10.1038/s41598-025-88217-8
doi:10.1038/s41598-025-88217-8
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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