Research Press Release
誤って誘導されたマクロファージ
Nature Immunology
2012年1月10日
アテローム性動脈硬化の原因となる重要な要因の1つ、動脈プラークにマクロファージがとどまる理由が明らかになった。この知見は、マクロファージの移動シグナルへの妨害がアテローム性動脈硬化の進行に重要である可能性を示しており、治療への手がかりになるかもしれない。 K Mooreたちは、通常はニューロンの移動を誘導するために用いられるネトリン-1という分子が、アテローム性動脈硬化マウスのプラーク中で活性化されたマクロファージからも放出されることを発見した。ネトリン-1による情報伝達によってマクロファージが化学誘引物質に向かう移動をやめてしまうため、マクロファージがプラーク内に滞留する。遺伝子操作によってネトリン-1を欠失させるとアテローム性動脈硬化の症状が軽減し、プラーク中にとどまるマクロファージ数も減少した。
doi:10.1038/ni.2205
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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