音楽:1950年以降、歌のメロディーがよりシンプルになる
Scientific Reports
2024年7月5日
米国のビルボードの年間シングルチャートで、毎年最も人気のある曲のメロディーの複雑さが1950年以降減少していることを示唆する論文が、Scientific Reportsに掲載される。
今回、Madeline Hamiltonと Marcus Pearceは、1950年から2022年までの間、毎年米国のビルボード年間シングルチャートで上位5位までにランクインした曲の最も主要なメロディー(通常はボーカルメロディー)を分析した。その結果、1秒間に演奏される平均音符数が増加するにつれて、曲のリズムと音程配列の複雑さが減少していることが明らかになった。また、メロディーの複雑さは、1975年と2000年の2回に顕著な減少が見られ、1996年にも小さな減少が確認された。著者らは、1975年に起こったメロディーの変化は、ニュー・ウェーブ、ディスコ、スタジアム・ロックといったジャンルの台頭を表しているのではないかと推測している。さらに、1996年と2000年に起こった変化は、ヒップホップの台頭か、オーディオループの繰り返し再生が可能になったデジタル・オーディオ・ワークステーションの普及を表している可能性があると付け加えている。
著者らは、ポピュラー音楽のメロディーの複雑さがここ数十年で減少しているように見えるが、これは他の音楽構成要素(音の質や組み合わせなど)の複雑さも減少していることを示唆しているわけではないと指摘している。また、音楽が聴き手を圧倒するのを防ぐため、メロディーの複雑さの減少は、他の音楽要素の複雑さが増加、例えば、1秒間に演奏される平均音符数が増加などから生じた結果だと推測している。さらに、デジタル楽器の利用可能性が拡大したことで、音楽の複雑さがメロディーではなく音質で表現されるようになった可能性も提唱している。
この研究成果は、過去70年間のポピュラー音楽の進化について、さらなる洞察を与えるものである。
doi:10.1038/s41598-024-64571-x
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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