心理学:画像の特徴は時間の経過の感じ方に影響を及ぼす可能性がある
Nature Human Behaviour
2024年4月23日
画像の見え方は、いかによく記憶されるかだけでなく、画像を見ている間にどれほどの時間が経過したかという知覚も左右することを明らかにした論文が、Nature Human Behaviourに掲載される。今回の知見は、時間が知覚される仕組みを解明する手掛かりとなる可能性があり、体内時計は普遍的であるという考え方に疑問を投げ掛けるかもしれない。
時間の知覚はヒトの意識の特徴の1つであるが、脳が時間を追跡して知覚する能力についてはまだよく分かっていない。客観的な「体内時計」の存在を仮定する研究がいくつかある一方で、我々が遭遇する刺激の性質がヒトの主観的な時間知覚に直接影響を及ぼすことを示唆する研究もある。
今回、Martin Wienerらは170人を対象に、参加者にさまざまな画像を異なる長さの時間見せた後に、画像を見ていた時間はどれくらいだったかを答えてもらう一連の実験を実施した。得られた結果をニューラルネットワークモデルと組み合わせることで、知覚された時間は、シーンのサイズ、乱雑さの度合い(例えば、物品が詰まった食料庫か空っぽの倉庫か)、シーンがどの程度記憶に残りやすいか、といった画像の特徴に影響されることが分かった。
具体的には、大きなシーンや記憶に残りやすい画像(典型的には、見る人にとってより新しい画像や、他の画像と区別しやすい画像)は時間を拡張するように見え(つまり、画像を実際よりも長い時間見ていたと感じる)、逆に乱雑なシーンは時間を短縮するように見えた。また、時間と記憶されやすさは相互に影響し合うこと、つまり記憶されやすい画像に対する時間の推定は精度が高く、より長く知覚された画像は記憶されやすいことも判明した。
Wienerらは、これらの結果は、ヒトの視覚、記憶、時間知覚の関連を理解するための手掛かりになる可能性があり、体内時計は普遍的であるという考え方に疑問を投げ掛けるかもしれないと示唆している。しかし、視覚情報の処理に影響を及ぼす他の特徴(テクスチャーなど)に関するさらなる研究が必要であるとWienerらは結論付けている。
doi:10.1038/s41562-024-01863-2
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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