古生物学:これまでで最も大きな古代ヤツメウナギが発見された
Nature Communications
2023年11月1日
中国北部で発見された1億6000万年前のヤツメウナギ種の化石2点について報告する論文が、Nature Communicationsに掲載される。このヤツメウナギは異常に大きく、体長は最初期のヤツメウナギの10倍以上とされる。発見された化石は、保存状態が良好であり、ヤツメウナギ類の化石記録の重要な欠落部分を埋め、ヤツメウナギの摂食の進化史、生活環、地理的起源に関する重要な知見をもたらす。
ヤツメウナギは、無顎脊椎動物の2つの現生系統のうちの1つで、今から3億6000万年前までの化石記録が存在している。ヤツメウナギの生活環は3つの異なる段階からなり、摂食行動も独特で、歯の付いた口吸盤を使って自分の体を獲物に固定する。古生代の最初期のヤツメウナギは、体長がわずか数センチメートルと小さく、摂食構造が弱く、生活環に転換期の段階がなかったことが知られている。しかし、わずかな数のヤツメウナギの化石しか発見されていないため、その進化史は解明されていない。摂食のために複雑化した歯と3段階の生活環が進化した正確な時期は分かっていない。
今回、Feixiang Wuらは、中国北部にあるジュラ紀の陸生化石産地の燕遼(Yanliao)生物相で新たに発見された予想外に大きなヤツメウナギの2点の化石について報告している。そのうちの1点の体長は60センチメートルを超えていた。体長の大きい方のヤツメウナギはYanliaomyzon occisorと命名され、もう一方はYanliaomyzon ingensdentesと命名された。口吸盤と獲物に「食い付く」構造の化石は非常によく保存されており、これらのヤツメウナギには強化された摂食構造が既に進化しており、体サイズが大きく、ジュラ紀までは捕食性だったことを示す証拠となっている。その他の化石証拠や体サイズの生理学的な意味を考慮に入れると、このヤツメウナギには3段階の生活環が既に進化していた可能性が高い。またWuらは、今回の知見は、現生ヤツメウナギが北半球ではなく南半球で出現した可能性が非常に高いことを示唆していると指摘している。
doi:10.1038/s41467-023-42251-0
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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