Research Press Release
結晶粒界の特性に優れた鉄プニクタイド超伝導体
Nature Communications
2011年8月3日
鉄プニクタイド超伝導体の結晶粒界は、より広く用いられている銅酸化物超伝導体の結晶粒界より優れた点があることが明らかになった。鉄プニクタイドは詳しく研究されており、銅酸化物を上回る利点がすでに数多く判明している。しかし、今回の研究で得られた新たな情報は、電力消費量ゼロの「理想的な」電線を製造するために使えるかもしれない高臨界温度超伝導体の開発に役立つ可能性がある。この研究成果を報じる論文は、今週、Nature Communicationsに掲載される。
結晶粒界では原子配列が乱れており、そのために電流密度が低下する。高臨界温度超伝導体の開発においては、この点が重大な問題だと考えられてきた。今回、東京工業大学の細野秀雄たちは、さまざまな結晶粒界角度を有する明確に定義された2つの結晶粒の境界の輸送特性を調べた。その結果、鉄プニクタイドの結晶粒界では、銅酸化物の結晶粒界よりも大きな結晶粒界角度に達するまで電流密度が低下しないことがわかった。
doi:10.1038/ncomms1419
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
化石:最も古く知られている「爬虫類」の足跡Nature
-
惑星科学:月内部の非対称性を示す証拠Nature
-
古生物学:「シカゴ」始祖鳥が、この古代鳥に新たな知見をもたらすNature
-
理論物理学:二体問題を解くNature
-
がん:乳がん治療薬の臨床試験で生存率の向上が示されたものの、がんの消失は限定的であったNature Communications
-
Nature Scientist at Work コンペティションの受賞者の発表Nature