化石:3300万年以上前から琥珀に保存されていた最も大きな花の化石
Scientific Reports
2023年1月13日
琥珀の中に保存された花の化石としては最も大きな花の画像を示した論文が、Scientific Reportsに掲載される。この花の直径は28ミリメートルで、既に見つかっている琥珀に保存された花の約3倍のサイズだ。この花の化石は、北ヨーロッパのバルト海沿岸の森林で見つかった琥珀に包まれていたもので、約4000万年前のものとされ、古代の常緑性の顕花植物(かつてStewartia kowalewskiiと呼ばれていた)の花と考えられている。
この化石植物は、1872年に初めて記述され、命名されたが、今回、Eva-Maria SadowskiとChrista-Charlotte Hofmannは、この非常に大きな花の化石を再分析し、この花が、後期始新世(3800万年前から3390万年前まで)のものであることを明らかにした。今回の研究では、この化石標本から抽出された花粉の分析が行われ、この花がアジア産のハイノキ科ハイノキ属の植物種の花に近縁なことが示唆された。この花について、論文著者は、再分類されて改名された植物種Symplocos kowalewskiiの花とすることを提案している。
著者は、このS. kowalewskiiから大量の樹脂が噴出して花を包み込んでしまったために並外れて大きな花が保存された可能性が高いという見解を示した上で、この樹脂の特性が、この花の上で生物が成長して、花を損傷することを防ぐ上で役立ったのではないかという考えを示している。
doi:10.1038/s41598-022-24549-z
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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