身体活動の効果:短時間の激しい身体活動は死亡リスクを下げるらしい
Nature Medicine
2022年12月9日
日常生活の一部として行われる、時間にすると1〜2分程度の短いが激しい身体活動、例えば非常に速く歩くといったことなどが、死亡リスクのかなり大きな低下に結び付くことが報告された。この死亡リスク低下は、余暇活動として行う激しい身体活動の効果と量的にほぼ同等だった。
ウエアラブルデバイスで得られる身体活動のデータはだんだんに増えており、これまで測定が難しかった短時間の身体活動が健康に与える影響の評価がこうしたデバイスを使って可能になってきている。
E Stamatakisたちは、英国バイオバンクからの2万5241人の参加者のウエアラブル加速度計データを解析した。この2万5241人は、余暇時間には運動はしないと報告している。平均年齢61.8歳のこのコホートでは、平均6.9年の追跡調査期間中の死亡率データが得られており、この期間の死者は852人であった。そして、最長で1〜2分しか続かない種々の身体活動と定義されるVILPA(vigorous intermittent lifestyle physical activity、日常生活中の断続的な高強度の身体活動)を行っている場合は、VILPAを行わない場合に比べて総死亡率、がん関連死亡率、心血管系死亡率が大幅に低下することが分かった。著者たちは、1回当たり1〜2分間のVILPAを1日に3回行うと、総死亡率とがん関連死亡率の38~40%の低下と心血管疾患による死亡率の48~49%の低下につながると結論している。死亡リスクのこの低下は、余暇時間に運動を行うと報告した英国バイオバンク参加者6万2344人で見られた高強度身体活動の効果とほぼ同じであった。
これらの知見は、運動ができない場合、あるいは運動したくない場合であっても、日常生活の中で行う短時間の高強度の活動から大きな恩恵を受けられることを示していると、著者たちは述べている。
doi:10.1038/s41591-022-02100-x
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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