遺伝学:DNAが暴く象牙密売ネットワーク
Nature Human Behaviour
2022年2月15日
アフリカの象牙密売ネットワークが、4000本以上のアフリカゾウの牙から得たDNAを用いて明らかにされたことを報告する論文が、Nature Human Behaviour に掲載される。
押収された象牙間の関連性が明らかになれば、責任を負うべき犯罪者の訴追を強化し、犯した罪の全ての責任を負わせられる可能性がある。
象牙の取引は違法であり、減少するゾウの集団を脅かすものであるが、その売買は続いている。押収象牙(当局が押収した大規模な象牙の貨物)は、法執行機関が密売人の活動を解明する際に役立つ情報を提供する。これまでの研究では、異なる押収物中に同じゾウ個体に由来する牙が見つかっており、異なる貨物の間につながりがあることが分かっていた。
今回、Samuel Wasserたちは、サバンナゾウ(Loxodonta africana)と森林地帯のゾウ(Loxodonta cyclotis)の4320本の象牙から得られたDNAを用いて、完全一致するもの(同じ個体に由来する2本の牙)と、近縁の個体群のもの(より一般的)を特定した。その結果、2002~2019年にアフリカから出荷された49件の大規模押収象牙(総計111トン)の大部分に、同じゾウ個体群の繰り返される密猟で得られた牙が含まれており、少数の大規模な相互接続ネットワークが、これらの犯罪の大部分の背後に存在する可能性があることが判明した。また、データ解析から、こうしたネットワークがアフリカの港湾の間を戦略的に移動していることも示唆された。
Wasserたちは、今回得られた結果は刑事訴追上、重要な意味を持つと結論付けている。遺伝的データという追加的な証拠によって、1つの押収象牙に基づく逮捕が、関連する複数の貨物に対する訴追につながり、責任を負うべき犯罪者により厳しい刑事罰を科せる可能性がある。
doi:10.1038/s41562-021-01267-6
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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