天文学:2つ目の地球トロヤ群小惑星が特定された
Nature Communications
2022年2月2日
最近発見された小惑星2020 XL5が、2つ目の地球トロヤ群小惑星であることが確認された。この結果を報告する論文が、Nature Communications に掲載される。今回の知見から、2020 XL5が少なくとも4000年間は現在の軌道にとどまることが示唆されている。
トロヤ群小惑星は、主天体の公転軌道上の一定の地点(太陽から見て主天体の約60°前方または後方の地点)を中心とする安定した軌道の上を運動する小天体だ。このような特異な軌道は、太陽系の進化のモデルにとって重要な制約条件となる。トロヤ群小惑星は、太陽系の他の惑星の周囲で観測されてきたが、地球のトロヤ群小惑星は、これまで2010 TK7の1つしか確認されていない。2020年12月12日に発見された2020 XL5は、初期の観測で地球トロヤ群小惑星である可能性が示唆されたが、観測範囲が不十分だったため、軌道要素の不確実性が大き過ぎ、確認に至らなかった。
今回、Toni Santana-Rosたちは、アーカイブデータと地上の天体観測所3か所での観測結果を組み合わせて、2020 XL5の軌道を調べた。そしてSantana-Rosたちは、これらの解析結果を用いて、2020 XL5が地球トロヤ群小惑星であることを確認した。Santana-Rosたちは、2020 XL5が主に炭素からなるC-複合小惑星だと考えており、今回の研究で軌道安定性解析を実施して、2020 XL5が少なくとも4000年間は現在の軌道にとどまるという見解を示している。また、Santana-Rosたちは、2020 XL5が木星との相互作用の後、主小惑星帯から放出された可能性があるという考えを示しているが、2020 XL5の起源を確認するためにはさらなる研究が必要だと考えられる。
Santana-Rosたちは、2020 XL5が、2010 TK7よりも大型の小惑星であり、将来のフライバイ(接近通過)ミッションの候補として優れている可能性を指摘している。
doi:10.1038/s41467-022-27988-4
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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