生物学:1000本以上の足を持つヤスデが初めて発見された
Scientific Reports
2021年12月17日
1000本以上の足を持つヤスデが初めて発見されたことを報告する論文が、今週、Scientific Reports に掲載される。これまでに750本以上の足を持つヤスデは見つかっていなかった。
今回、Paul Marekたちは、オーストラリア西オーストラリア州の東ゴールドフィールズ地域の鉱区において、鉱物探査のために開けられたドリル穴の地下60メートルの地点で、このヤスデを発見した。このヤスデは、他のいかなる動物よりも多い1306本の足を持ち、新種に属しており、Eumillipes persephoneと命名された。ヤスデという意味のmillipedeは、ギリシャ語のeu-(真の)、ラテン語のmille(1000)とpes(足)に由来する。persephoneは、ギリシャ神話に登場する冥界の女王であるペルセポネを表している。Marekたちは、この新種に属する4個体を測定し、その細長い糸状の胴体には、最大330の体節があり、体幅が最大0.95ミリメートル、体長が最大95.7ミリメートルあることを明らかにした。これらのヤスデは、目がなく、足が短く、触角とくちばしのある円錐形の頭部を有している。
種間の関係を分析したところ、E. persephoneは、これまで足の数が最も多かった米国カリフォルニア州に生息するヤスデ種Illacme plenipesとは遠縁関係にあることが示唆された。Marekたちは、これら2種において進化した多数の体節と足が、生息地の土壌環境の狭い隙間を通過するための押す力を発生させると考えている。
今回の知見は、東ゴールドフィールズ地域内の生物多様性を浮き彫りにしている。Marekたちは、この地域での採鉱がE. persephoneに及ぼす影響を最小限に食い止めるためには、地下のE. persephoneの生息地を保全するための取り組みがなされるべきだと提言している。
doi:10.1038/s41598-021-02447-0
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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