天文学:ケンタウルス座b星連星系を周回する未知の巨大ガス惑星が観測された
Nature
2021年12月9日
高質量連星系であるケンタウルス座b星A・B(b Cen AB)の広い軌道を周回する巨大ガス惑星が観測されたことを報告する論文が、今週、Natureに掲載される。今回の知見は、これまでの研究で示唆されていたよりもはるかに大きな恒星系に惑星が存在する可能性があることを実証しており、惑星の形成過程に関する解明が進むと考えられる。
星を周回する惑星の確認観測によれば、太陽質量の3倍を超える星を周回する巨大ガス惑星はまれか、存在しないと考えられている。この惑星形成の考えに疑問を呈しているのが天の川銀河内に位置しているb Cen ABで、この連星系の質量の合計は太陽質量の6~10倍とされる。
今回、Markus Jansonたちは、2019年3月から2021年4月にかけて、チリのパラナルにあるヨーロッパ南天天文台の超大型望遠鏡(VLT)に搭載されている系外惑星観測装置SPHEREを用いて、この巨大ガス惑星(彼らはb Cen (AB)bと命名)を観測した。その結果、b Cen (AB)bは、地球と太陽の距離の560倍の距離で、連星系の星を周回していることが分かった。Jansonたちは、b Cen (AB) bの輝度の測定結果から、b Cen (AB)bとそれが周回する恒星系の質量比が、木星と太陽の質量比に近いという計算結果を示している。しかし、b Cen (AB) bは、木星と比べて、質量は11倍で、軌道は100倍広い。Jansonたちは、b Cen (AB) bについて、その位置と軌道に基づいて、かつてb Cen ABを周回していた円盤状の物質内に蓄積した高密度の塊から、現在の位置の近くで急速に形成された可能性が非常に高いことを明らかにした。
doi:10.1038/s41586-021-04124-8
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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