ウイルス学:有望視されている抗ウイルス薬がサルHIV感染モデルに感染防御効果をもたらした
Nature
2021年12月8日
HIV感染阻害剤を1回投与されたアカゲザルが、長期間にわたってサルHIV(SHIV)に対する感染防御を示したことを記述した論文が、今週、Nature に掲載される。このクラスの抗ウイルス薬は、HIV伝播を減少させるための予防的手法を改善できる可能性があるが、こうしたHIV感染阻害剤のヒトに対する有効性を評価するには臨床試験が必要である。
抗レトロウイルス薬による曝露前予防(PrEP)は、重要なHIV予防戦略だが、高頻度の投薬が必要で、そのために投薬計画の遵守と有効性が十分でなくなる可能性がある。長時間作用型の抗レトロウイルス薬は、日々の薬剤投与に伴う諸課題に対処できる可能性がある。今回、Dan Barouchたちは、マウスで抗ウイルス活性を示したGS-CA1の長期的な予防効率を検討した。GS-CA1はHIVキャプシドを阻害できる小分子薬であり、HIVキャプシドは、ウイルスの複製において極めて重要な役割を担っているため、抗ウイルス剤の標的として注目を集めている。
Barouchたちは、GS-CA1を単回投与されたアカゲザルにSHIVのチャレンジを繰り返し行ったところ、このアカゲザルに感染防御効果が認められたことを報告している。この実験では、合計24匹のアカゲザルが3つのグループに分けられ、第1群のアカゲザルにはGS-CA1(体重1キログラム当たり150ミリグラム)を単回投与し、第2群のアカゲザルにはGS-CA1(体重キログラム当たり300ミリグラム)を単回投与し、第3群を対照群として、全ての動物に対してSHIVのチャレンジを15週間毎週行った。第2群の全てのアカゲザルは、17週まで血漿中にウイルスは検出されず、そのうちの5匹は、試験期間終了時(24週)までウイルスが検出されなかった。体重1キログラム当たり300ミリグラムのGS-CA1が投与された場合には、1回のウイルス曝露当たりの感染リスクが97%低下した。
GS-CA1は、臨床試験で有望な抗ウイルス活性を示した別のHIVキャプシド阻害剤(レナカパビル)と構造が似ている。Barouchたちは、非ヒト霊長類を対象としたGS-CA1による治療から以上の結果が得られたことは、これらのHIVキャプシド阻害剤の単回投与による感染防御効果がどの程度の期間にわたって持続するのかを調べるための臨床試験の指針として役立つ可能性があると述べている。
doi:10.1038/s41586-021-04279-4
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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