家族の社会経済的地位が、未成年者の知能テストの成績と脳の発達と相関している可能性
Communications Biology
2021年4月30日
未成年者の家族の社会経済的地位が、知能テストの成績と脳の発達の指標と相関関係にあると考えられることを報告する論文が、Communications Biology に掲載される。この研究は、日本人の未成年者200人以上を対象とし、3年間にわたって行われた。
これまでの研究では、未成年者の家族の社会経済的地位(世帯収入と両親の就学年数で測定される)が、認知能力と脳の発達の各種指標と関連付けられていた。これらの関連性は、数多くの生物学的要因と環境的要因の結果である可能性が高いが、この相関性が発達過程でどのように変化するのかは依然として不明だ。
今回、東北大学の竹内光(たけうち・ひかる)たちの研究チームは、5~18歳の未成年者を対象として、脳の構造的発達、心理テストの成績、家族の社会経済的地位の関係を3年間にわたって追跡調査した。今回の研究では、広く用いられている検査であるウェクスラー知能検査が実施され、16歳以上の未成年者と16歳未満の未成年者で異なるバージョンが用いられた。ウェクスラー知能検査は、言語能力、空間能力、数理能力を測定する。その結果、社会経済的地位の高い家族の未成年者は、社会経済的地位の低い家族の未成年者に比べて、全検査IQと言語性検査IQのスコアがわずかだが有意に高かった。しかし、言語性検査IQ以外の個々のIQスコアと社会経済的地位との相関関係は認められなかった。
また、竹内たちは、家族の社会経済的地位と文字の認知と読解に関与する脳領域の構造の経時変化との相関についても報告している。彼らの観察結果から直接の因果関係が存在すると判断できないが、時間の経過に従って相関が強くなることは明らかになった。これは、どのような教育的介入も、幼少期の方が効果的であると考えられることを示唆している。
doi:10.1038/s42003-021-01974-w
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