Research Press Release

免疫学:SARS-CoV-2変異株と回復期血漿との交差中和の可能性を評価する

Nature

2021年3月29日

Immunology: Assessing the cross-neutralization potential of SARS-CoV-2 variants with convalescent plasma

南アフリカ共和国での重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)感染症の流行の第1波で同感染症から回復した者に由来する抗体は、南アフリカで新たに蔓延している501Y.V2(懸念される変異株の1つ)の中和活性が低いことを報告する論文が、Nature に掲載される。一方で、南アフリカでのSARS-CoV-2感染症の流行の第2波において501Y.V2変異株に感染した6人の患者から採取した血漿は、第1波において蔓延したウイルス株の中和活性を有することが判明した。これらの知見は、懸念されているSARS-CoV-2変異株を用いたワクチンが、その他の蔓延しているウイルス株に対して有効な中和活性を発揮する可能性のあることを示唆している。

懸念されている新たなSARS-CoV-2変異株は、他のウイルス株に対して有利になるような変異を持っている。南アフリカで最近実施されたノババックス、ジョンソン・エンド・ジョンソン、アストラゼネカ各社のワクチンの臨床試験の結果は、南アフリカの一部の地域で優勢となった501Y.V2変異株の蔓延がワクチンの有効性の低下につながる可能性があることを示している。1つの変異株に対する抗体が別の変異株に対してどのように作用するのかを解明できれば、ワクチン開発にとって貴重な情報が得られる可能性がある。

今回、Alex Sigalたちの研究グループは、南アフリカでのSARS-CoV-2感染症流行の第1波と(現在の)第2波で出現したSARS-CoV-2変異株に対するCOVID-19患者の回復期血漿の中和活性を比較した。この研究では、第1波でCOVID-19に罹患した14人から血漿を採取し、これらの参加者が感染したウイルスの塩基配列を解読した。参加者のうち、SARS-CoV-2の顕著な変異であるE484K変異(スパイクタンパク質の484番目のアミノ酸がリシンに置換した変異)があったと記録された者は1人だけで、501Y.V2に関連する変異を含むウイルスに感染した者はいなかった。Sigalたちは、第2波でCOVID-19に罹患した6人についても同じ調査を実施した。この場合は、6人全員が501Y.V2変異株に感染していた。第1波でCOVID-19に感染した者(E484K変異株に感染した者を除く)から採取した血漿は、実験室での検査において、第1波のSARS-CoV-2ウイルスの中和活性よりも501Y.V2変異株の中和活性が低かった。しかし、第2波でCOVID-19に感染した者から採取した血漿は、第1波で蔓延していたSARS-CoV-2ウイルスを効果的に中和した。E484K置換のみを有する変異株によって誘導された血漿は、第1波でのウイルス変異株と501Y.V2変異株に対してかなり強力な中和活性を示したが、E484K置換は1人の参加者のみで観察されたため、今回の研究結果の解釈は難しい、とSigalたちは指摘している。

Sigalたちは、501Y.V2を標的とするように設計されたワクチンが、他のSARS-CoV-2変異株に対しても有効性を示す可能性があると結論付けている。

doi:10.1038/s41586-021-03471-w

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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