Research Press Release

疫学:学校を安全に再開させるための手順

Nature Communications

2021年2月16日

Epidemiology: Protocols for the safe reopening of schools

2020年春の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)第1波の際にフランス中北部で収集されたデータを用いたモデル化研究が実施された結果、ロックダウン後にCOVID-19の感染拡大を抑制しつつ学校を安全に開校するための戦略において、幼稚園・保育園と小学校の段階的な再開を優先すべきことが示唆された。この研究では、全てのレベルの学校を同時に再開すれば、医療システムを圧迫する可能性があることも示された。この研究結果を報告する論文が、Nature Communications に掲載される。

COVID-19の感染拡大において子どもが果たす役割は十分に解明されておらず、このことは、COVID-19の伝播に対して学校の再開がどの程度のリスクとなり得るのかを評価する際に重要な課題として残っている。子どもは成人と比べてCOVID-19に対する感受性が低いことが研究によって示唆されているが、一部の研究では、10歳未満の子どもよりも青年の方がCOVID-19にかかりやすく、感染拡大が起こりやすいことが明らかになっている。

今回、Vittoria Colizzaたちは、フランスで2020年5月まで実施された第1回ロックダウンの時にイル・ド・フランス地域圏で収集されたデータに基づいて、医療システムを圧迫することなくフランスの学校を安全に開校するための手順を評価した。Colizzaたちは、5月11日に学校を再開するシミュレーションを行い、段階的再開か即時再開か、一斉登校か分散登校か、学校の種類(幼稚園・保育園、小学校、中学校、高等学校)の点が異なるいくつかのシナリオに従って実行した。そして、Colizzaらは、幼児と思春期の子どもを区別して、子どもにおけるCOVID-19の伝播性に関する複数の仮説を検証した。

Colizzaたちは、学校の再開がCOVID-19症例数の増加につながると考えられることを明らかにしたが、今回の研究結果は、目的を明確にした手順が採用されれば、こうした増加は管理可能なことを示している。そして、幼稚園・保育園と小学校だけが5月11日に一斉登校で即時再開し、他のレベルの学校が1カ月遅れで段階的に再開するというシナリオの下では、集中治療室の占有率が100%を下回り、最大76%にとどまるという予測が示された。このような予測が、他の国々のより最近の期間にも適用できるかどうかは、まだ検証されていないが、この研究で評価されたさまざまな学校再開戦略は、介入を個々の条件に合わせて設計し、学校の開校や閉校に関する決定にとって有益な情報を提供する上で役立つ可能性があるとColizzaたちは結論付けている。

doi:10.1038/s41467-021-21249-6

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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