Research Press Release
アリとシロアリの巣穴による灌漑効果
Nature Communications
2011年3月30日
寒冷気候や湿潤気候の地域では、ミミズが地中に穴を掘ることで土壌に空気を供給して作物収量を増加させているが、乾燥気候の地域でも、アリとシロアリが地中に穴を掘ることで作物収量が増えているという見解を示す論文が、今週、Nature Communicationsに掲載される。こうした自然の生態系サービスの利用は、肥料の利用といった高コストの作物収量増加法を持続的に削減するための1つの方法かもしれない。
今回T Evansらは、オーストラリア西部の農場で研究を行い、アリとシロアリがコムギの収量を36%増加させていることを見いだし、こうした収量増加は、アリとシロアリが掘った穴によって土壌への水分の浸透が促進され、土壌窒素が増えたことによることを明らかにした。この研究成果は、アリとシロアリが、温暖で乾燥した生息地で、ミミズに似た役割を担っている可能性を示唆している。
doi:10.1038/ncomms1257
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
神経科学:COVIDパンデミックが英国の成人の脳の老化を早めることに関連するNature Communications
-
社会科学:週4日勤務制が労働者のウェルビーイングを向上させるNature Human Behaviour
-
動物の行動:犬のテレビを視聴する習慣は性格によって異なるScientific Reports
-
疫学:欧州における鳥インフルエンザ発生の主な予測因子が特定されるScientific Reports
-
素粒子物理学:CERNで観測されたつかみどころのない物質と反物質の非対称性Nature
-
古生物学:獲物に忍び寄るための古代爬虫類の特殊なヒレNature