Research Press Release

免疫学:回復期患者の血漿を用いる治療はCOVID-19の重症度を軽減するかもしれない

Nature Medicine

2020年9月15日

Immunology: Convalescent plasma therapy may decrease COVID-19 severity

COVID-19の患者に、回復期にあるCOVID-19患者の血漿を投与すると、投与から14日目の時点で、酸素を必要とする可能性は投与しなかった患者に比べて低くなり、生存の確率が高くなったことが報告された。Nature Medicine に掲載されたこの結果は、ニューヨーク市で症状の重い入院患者39人を対象に行われたスコアマッチング法による後ろ向き症例対照研究で得られたもので、さらなる研究の必要はあるものの、回復期血漿がCOVID-19に有効である可能性を明らかにしている。

回復期血漿を用いる治療は、COVID-19に対する新しい抗ウイルス薬やワクチンの開発を待つ間の暫定的な治療法になると見なされている。COVID-19から回復した患者から提供される回復期血漿(血液の細胞以外の成分)には抗体が含まれ、その中にはSARS-CoV-2を特異的に認識する抗体も存在する。このような抗体をSARS-CoV-2に感染した患者に注入すると、患者自身の免疫応答を補足してウイルス感染を抑えることによって、抗ウイルス効果が誘導されると考えられる。しかし、COVID-19からの防御とSARS-CoV-2に対する抗体の血中レベルとの直接の結び付きはいまだに明らかになっていなかった。

N Bouvierたちは、2020年3月24日から4月8日にかけてニューヨーク市のマウントサイナイ病院に入院していた39人の患者を選んで、COVID-19患者の回復期血漿を投与した。患者の3分の2は男性、3分の1は女性で、平均年齢は55歳だった。患者では肥満傾向が見られたが、それ以外の既存疾患はほとんどなかった。血漿投与の当日には、患者の87%が非侵襲的な装置による酸素吸入を必要としており、10%は人工呼吸器を使用していた。対照群は、投与群と同時期に入院していたCOVID-19患者で、感染経過、症状、既存疾患については投与群と同等だった。血漿投与の14日後には、さらなる酸素吸入が必要だった患者は投与群では18%だったが、対照群では28%だった。5月1日の研究終了時点までに、血漿を投与した患者の13%、対照群の24%が死亡し、生存退院した患者は投与群の72%、対照群の67%だった。

著者たちは、この研究によって回復期血漿の投与がCOVID-19の有効な治療になる可能性を示す証拠が得られたが、この治療法の有効性を明確に決定するには、もっと症例数を増やした無作為化試験が必要だと述べている。

doi:10.1038/s41591-020-1088-9

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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